ふたたび、ふた旅
久々に晴れた日曜の午後。書斎に差し込む冬の陽が暖かくて心地いい。
静かなのは、妻も子供も出かけているせい。
机の上に古いシステム手帳を置く。仕事を休業する前に使っていた黒のfilofaxは、糸がほつれたり、皮がよれよれになったり、つまりくたびれている。まずは布で裏表の汚れを落とし、ワックスを塗り力を入れてこする。寄れた表扉の内側には厚紙を入れて補強し、ほつれは接着材で直す。素人考えの修繕だけれども、ちょっと神聖な気分で、大げさに言うと武士が刀を手入れするような気分で、体裁を整える。同時に心の中も整える。新しい年のリフィールに入れ替えると完成。
じっと眺めていると、思い切って買った時の思い出や仕事先での記憶が甦ってくる。
『ぐるっと一周して元の位置に戻ってくる』と言う感じ。
ある程度の年齢や経験をつんだヒトには分かってもらえる感覚だと思う。スタートと再スタートの違いは、そんな足もとの見据え方と言うか落ち着き方の違いかも知れない。
こんな静かな冬の午後に、どこかで心の暖炉を穏やかに熱く燃やすヒトが、僕の他にもきっといるはず。そして自分の手帳や靴や鞄や車やらをもの静かに手入れしていることだろう。
そろそろコーヒーを沸かそう。妻たちは土産にケーキを買って帰ると言っていたから…。