雲の羊、雲の国。

雲の羊、雲の国。

子どもの頃、2階の窓からよく空を眺めていた。その頃はまだ辺りに高いビルやマンションなんて無かったので、空は大きく、遠くまで見渡せた。僕はその窓辺の木でできた手すりにつかまって、雲を見るのが好きで、流れてくる雲の様々な形を何かに見立てては、空想にふけっていた。ちぎれたり、くっついたりしながら横切っていく雲たちは、僕の頭の中で、羊たちの大移動になったり、シュークリームの遊泳になったり、帆船になったりした。

午後3時を過ぎた街はなぜだかとても静かで、宣伝用のセスナ機が出すブーンという低いエンジン音が遠くで聞こえるだけ。無口な羊たちの群れを数えたせいかな、なんだか眠たくなる。街も眠たそうだ。

大陸のように長くつらなった雲のかたまりを見ると、いつも雲の上の王国のことを想った。ホントはあの国で僕は生まれたのだ。夕日になりかけた太陽のせいで少しピンク色がかった王国を見ていると、いつも哀しくなった。おかしな話だけれど、もうあの国には戻れないんだ、と子ども心に痛感するのだ。

大人になった(たぶんなってると思う)今でもたまに空を見上げたりするけれど、やはりちょっと哀しくなることがある。僕の子どもたちはどうなんだろう。雲をぼんやり眺めたり、空想したりしているのかな? でも、まだまだ僕も想像力では負けていないつもりだ。まぁ、あの子たちの純粋さには、全然かなわないだろうけどね・・・。

 

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